神話やスピリチュアルなテーマで語られることの多い「龍神」は、あなたにとってどんな存在ですか?
この記事では、干ばつ時に空海により誘われた、降雨を司る「善女龍王」について解説していきます。
善女龍王について知ることは「自分を知る」ための第一歩となるかもしれません。
この記事が、あなたの人生をより楽しむためのひとつのレシピとなれば嬉しいです♪
どんな龍神様かしら?
今日は雨をもたらす龍神、善女龍王について教えてやろう。
最後までついてくるがよい。
龍神には様々な種類がありますが、今回は降雨を司ると言われる善女龍王について深めていきましょう。
神話には登場しない善女龍王ですが、実は日本を救った偉大な龍神です。
善女龍王が祀られるようになったきっかけや、どこにお参りすればいいのか、どんなご利益が得られるのかもあわせて解説しています。
謎の多い善女龍王について紐解いていきましょう。
善女龍王とは?|日照りから日本を救った龍王
善女龍王は、降雨を司る龍神です。
長く続く日照りに人々が困っていた時、天皇の勅命を受けた空海が雨を降らせるために呼び寄せ、天竺(今の北インド)から日本にやってきました。
空海の雨乞いの儀式に善女龍王が応え、3日間降り続いた雨を日本中にもたらしたそうです。
人々はこの雨に感謝し、雨乞いをした場所である神泉苑(しんせんえん)に善女龍王を祀りました。
その後も日照りによって困ると人々が善女龍王に祈るようになったことで、全国各地に善女龍王を祀った神社やその住処とされる池が存在します。
善女龍王とは、空海が呼び寄せた【降雨を司る龍神】
824年、日本全国で大変ひどい日照りが続いていました。
作物が育たないことで多くの人が苦しんでいた状態を打開すべく、朝廷が雨乞いを2人の僧侶に命じました。
1人は西寺の守敏(しゅびん)、もう1人は東寺の空海です。
まず守敏が7日間雨乞いを行ったところ、ほんの少し雨を降らせることができました。
次に空海が7日間雨乞いを行いましたが、雨は全く降りません。
おかしいと思った空海が法力で調べてみると、なんと空海の名声を妬んだ守敏の呪力によって全国の龍神が水瓶に閉じ込められていたのです。
ところが、天竺(今の北インド)の無熱池(むねっち)にいる善女龍王だけが守敏の呪力を逃れていることがわかりました。
そこで空海が祈雨の修法を行ったところ、その呼びかけに応じた善女龍王が姿を現し、たちまち雨が降り始めました。
3日間に渡って国中に降り続いた雨に感謝し、祈雨の修法を行った場所である神泉苑(しんせんえん)に善女龍王を祀るようになり、善女龍王は神泉苑の池に住むようになったそうです。
また、それ以来神泉苑は雨乞いを行う場所として利用されるようになりました。
小野小町が雨を祈って和歌を奉納したり、静御前が雨を祈って舞い3日間の大雨を降らせることに成功したという言い伝えが残されています。
善女龍王の別名、習合、同一視されている神々【諸説あり】
ここでは、善女龍王の別名や、同一視されている神々を紹介していきます。
- 清瀧権現(せいりゅうごんげん):善女龍王と同じく八大龍王の1尊である娑羯羅(しゃがら)の第3王女とされているため、別名だと考えられます。
- 歳徳神(としとくじん):その年の福を司る歳徳神です。清瀧権現と同様に、娑羯羅(しゃがら)の第3王女とされているため、善女龍王の別名だと考えられます。
- 頗梨采女(はりさいじょ):娑羯羅(しゃがら)の第3王女であるとされているため、善女龍王の別名だと考えられます。
- 弁財天(べんざいてん):七福神としても有名ですが、水を司る神とされているため、善女龍王と関係があると考えられています。
- 瀬織津姫(セオリツヒメ):天照大御神(アマテラスオオミカミ)の荒魂(あらたま、あらみたま)で水を司る神であることから龍神の化身と考えられています。
謎が多い神様だからこそ、他の神様や人々との関わりをもうちょっと詳しく知りたいわ。
父親である娑羯羅龍王(しゃがらりゅうおう)や夫とされている牛頭天王(ごずてんのう)、空海の外にも関わりを持っている人間について教えてやろう。
【善女龍王と他の神仏の関係】思いに全力で応える龍王
善女龍王と空海の関係|神がかり的な土木工事の成功を支える
空海が善女龍王をインドから呼び寄せたことは先ほど触れましたが、それより前から空海と善女龍王は関わりがあったようです。
空海は仏教を学ぶために唐(今の中国)に渡り、仏教だけでなく土木技術や薬学など多くの知識を得て日本に帰ってきました。
818年、讃岐にある満濃池の堤防が洪水により決壊します。
修復を試みましたが思うように進まず、讃岐出身であった空海が821年、再築のために派遣されました。
空海は地元の百姓から信頼を得ていたため協力を得やすかったこともありますが、唐で学んだ知識を活かし現在の堤防築造のやり方とほとんど変わらない方法を用いて、なんと約2ヶ月で再築を成功させます。
この工事の際、空海が護摩を焚いて祈願を行ったことで善女龍王のサポートを受けられたと考えられているのです。
また、824年に神泉苑に善女龍王を招いたあとも、高野山で祈雨の法を行うときは金堂に善女龍王の軸をかけて祈るなど、深い関わりが続いています。
善女龍王と娑羯羅龍王の関係|娑羯羅龍王の第3王女とされる
善女龍王は娑羯羅龍王(しゃがらりゅうおう)の第3王女であると言われています。
娑羯羅龍王は、仏様のランクの1番下にあたる天部に属す八大龍王の1尊で、仏法を守護する存在です。
娑羯羅とは「大海」という意味で、天海に住む龍宮の王とされています。
乙姫様のモデルとされる豊玉姫の父親は、大綿津見神(オオワダツミノカミ)です。
娑羯羅龍王と同じく龍宮の王とされていることから、同一視されています。
どちらも海を司ることから、航海の守護神としても有名です。
善女龍王と牛頭天王と八王子権現の関係|夫と子どもたち
牛頭天王(ごずてんのう)は善女龍王の夫ではないかと言われています。
名前の通り赤い角のある牛の頭を持っていたため、人々に恐れられていました。
誰も近くに寄り付かないことを嘆いて荒れた生活をしていましたが、気晴らしに連れていかれた狩りで1羽の鳩に出会います。
鳩は、龍宮城に行くよう告げ、娑羯羅龍王の娘のもとに牛頭天王を案内しました。
そこで出会った娘が善女龍王だとされています。
牛頭天王と善女龍王は結婚し、七男一女の子どもを授かりました。
この子どもたちが八王子権現(相光・魔王・俱魔良・徳達神・良侍・達尼漢・侍神相・宅相神)です。
八王子権現は、八方(東・西・南・北・北東・北西・南東・南西)を司り、病気や災厄を免れるというご利益があると信じられています。
善女龍王と松下幸之助(経営の神様)の関係|運を強くするサポートをした
松下幸之助さんは、パナソニックの創業者で経営の神様として知られています。
実は、松下幸之助さんは善女龍王を厚く信仰していたそうです。
自宅として西宮に建てた光雲荘に善女龍王を祀っていました。
どうして経営の神様が雨を降らせる神様を信仰していたのかしら?
松下幸之助さんは、善女龍王以外の龍神も信仰しており、本社に祀られた白龍を始め、黒龍・青龍・赤龍・金龍・下天龍王を全国の拠点で祀っているそうです。
善女龍王の真言とは?得られる効果やご利益を紹介
真言はサンスクリット語ではマントラと言われ、「真実の言葉、秘密の言葉」という意味を持ちます。
言葉そのものにもご利益がありますが、声に出して唱えることで、さらに効果が増すとされています。
善女龍王の真言を唱えることで得られるご利益は、五穀豊穣や商売繁盛、学業成就や心願成就などです。
其方にとって馴染みのある寺社などで聞いてみるのもよいだろう。
今度行くときに聞き比べしてみるわ。
善女龍王のご利益
心願成就、五穀豊穣、商売繁盛、学業成就
善女龍王の真言(マントラ)をご紹介
善女龍王の真言は「おん めい けしゃにえい そわか」です。
「おん」は聖音と呼ばれる、真言の始めに唱える神聖な音のことで、「そわか」は真言の終わりに願望成就を願って唱えられる言葉です。
ご利益は「心願成就」とされています。
真言の唱え方は特に決まりがあるわけではないので、自分にとってやりやすい方法で構いません。
リラックスした状態で、心に響くように丁寧に唱えていくことと良いでしょう。
なにかおすすめの方法はあるのかしら?
瞑想中であれば、心の中で唱えても大丈夫だよ。
どれくらい唱えれば良いかも気になるわ。
おん めい けしゃにえい そわか
自分の潜在意識に親しむことで、見えないものをキャッチする感性を育ててみませんか?
善女龍王が祀られているお寺・神社|有名どころを紹介
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善女龍王社(和歌山県伊都郡高野町)
善女龍王社は、和歌山県にある高野山金剛峯寺の中にあります。
中門から入って金堂右脇にある蓮池の中州にある小さな祠が善女龍王社です。
善女龍王社の起源は江戸時代に遡ります。
瑞相院の僧侶である慈光が、人々を苦しめた干ばつを終わらせるために、蓮池の中州に善女龍王像と仏舎利を祀ったところ、たちまち雨が降り出しました。
高野山金剛峯寺は見どころが多いお寺ですが、入り口である大門は建築から300年以上経った今なお、夕日に照らされた朱色で人々の心を魅了します。
どの季節も楽しめるお寺ですが、特に秋の紅葉の美しさが有名です。
お気に入りの御朱印を探してみるのも楽しそうだね♪
神泉苑(京都市中京区)
神泉苑は京都市中京区にあり、二条城のすぐ近くに位置します。
794年に平安京の一部として桓武天皇により造営されました。
神泉苑に善女龍王が住まわれるようになったのは、824年とされています。
この年、日本中がひどい日照りに悩まされていました。
これを解決するために、淳和天皇の勅命で空海が北インドから善女龍王を呼び寄せ、見事に雨を降らすことに成功したそうです。
これ以来、善女龍王は神泉苑に住むとされ、神泉苑は雨を祈る修法が多く行われる霊場としての性格を強めました。
神泉苑の授与品はいくつかありますが、そのうちの1つが願いが叶うとされる善女龍王守りです。
「生まれ年の九星」と「赤、紺、緑、橙」のタイプの2種類あり、これを胸に抱いて1つだけ願いを念じながら法成橋を渡ると願いが叶うと言われています。
室生龍穴神社(奈良県宇陀市)
室生龍穴神社は、奈良県宇陀市にある神社です。
いつ創建されたかの記録が残っていないほど古くからある室生龍穴神社。
入り口には樹齢600年を超える大きな杉の木があり、参拝者を圧倒します。
境内に入ると目に入るのが、同じ根元から2つに分かれた「連理の杉」と呼ばれる杉の木です。
縁結びや夫婦円満などのご利益があるそうです。
室生龍穴神社から徒歩20分程度、林道を登って行くと古来より雨乞いのパワースポットとして名高い奥院「吉祥龍穴」があります。
この龍穴に善女龍王がいらっしゃるそうです。
鳥居から龍穴が見える遥拝所まで、さらに10分程度階段を下るためアクセスが良い場所ではありませんが、だからこそ人が少なく厳かな雰囲気の中で善女龍王の存在を感じやすい場所といえるでしょう。
善女龍王神社・雷電神社(埼玉県秩父郡)
善女龍王神社・雷電神社は、埼玉県秩父郡にある神社です。
蓑山の山頂近くに位置するため、最寄りの皆野駅から徒歩1時間ほど山道を登って行くと到着します。
鳥居をくぐって祠にお参りしたあとは、その奥にある龍神池も忘れずに参拝しましょう。
平安時代、この地で日照りが続いた際に、京都で修行を積んだ観喜坊という僧が龍神に雨を降らせてくれるようお願いしました。
この願いを聞き入れて雨を降らせたのが善女龍王で、それ以降この池に善女龍王がお住まいだとされています。
普段は無人の神社ですが、毎年6月8日に執り行われる例祭のときには、善女龍王神社を管理している皆野椋神社の宮司が訪れます。
自分の潜在意識に親しむことで、見えないものをキャッチする感性を育ててみませんか?
【まとめ】まっすぐな思いを応援してくれる善女龍王
遠い天竺から呼ばれ、それに応えて日本に来て雨を降らせるなんて。
降雨を司ることで知られている善女龍王。
長い日照りで困り果てた日本に雨をもたらすことで、何度もその危機を救ってきました。
空海や慈光など数多くの雨乞いに応えるのは、降雨の力があるからだけではなく、人々の思いに応えたいと思うひたむきな気持ちを持っているからではないでしょうか。
あなたが純粋に成し遂げたいということがあるならば、善女龍王様にお願いしてみると、きっと全力で応援を受けられることでしょう。