磐長姫(イワナガヒメ)とは？神話や家系図、祀られている神社を解説

あなたの魂が輝けば
世界はもっと素敵になる

あなたを見守っている
日本の神様がわかる！

【日本の神様一覧】日本を作った神々を神話エピソードとともに紹介！日本を作った神様たちを知っていますか？古事記などの日本神話を元に神様の名前やエピソードを紹介します。ご利益の一覧もありますよ♪...

寿命と良縁をつなぐ女神、磐長姫(イワナガヒメ)とは？

磐長姫(イワナガヒメ)は、日本の神話に登場する神様のうちの1柱です。

美しい妹とは違い、醜い容姿をしていたとされるイワナガヒメ。

その一方で、長い時間を経ても変わらぬ姿を残す岩のように、命の永続性を司っているとも伝えられています。

この記事では、『古事記』や『日本書紀』といった日本の神話を参考に、イワナガヒメについて詳しく解説していきます。

イワナガヒメは【延命長寿の神】他にも多くのご利益がある

イワナガヒメは延命長寿のご利益がある、「岩石」を象徴とする神様です。

磐長姫の名前にある「磐」という字には、大きな岩という意味があります。

また「常磐」という意味もあり、冬の厳しい寒さでも葉の色が変わらない常磐木(ときわぎ)は、縁起の良い柄として婚礼衣装にも使われているのだとか。

さらに、イワナガヒメの別名には「苔牟須売神(コケムスヒメ)」という名があります。

長寿を祝う日本の国歌である「君が代」は、「苔のむすまで」という歌詞で締めくくられており、この歌詞はイワナガヒメをモチーフにしているのではという説も。

こうしたことから、イワナガヒメは長く続く命を象徴した延命長寿の神様として、全国の神社に祀られているのです。

イワナガヒメの家系図｜コノハナサクヤヒメの姉で大国主命の祖先

イワナガヒメは、山の神である大山津見神(オオヤマツミノカミ)の娘です。

妹には、ニニギとの婚姻エピソードで有名な木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)がいます。

 
また、イワナガヒメの夫は八島士奴美神(ヤシマジヌミノカミ)ではないかという説があります。

このヤシマジヌミは、須佐之男命(スサノオノミコト)と櫛名田比売(クシナダヒメ)の間に生まれた神様です。

イワナガヒメはヤシマジヌと結婚した後に、布波能母遅久奴須奴神(フハノモヂクヌスヌノカミ)を生み出しました。

そしてフハノモヂクヌスヌの子孫には、日本の神話に数多く登場する大国主命(オオクニヌシノミコト)がいます。

大国主命(オオクニヌシノミコト)とは？神話や家系図を交えわかりやすく解説国造り、国譲りの神として有名な大国主命(オオクニヌシノミコト)。祀られている神社やご利益、守られている人などについて解説します。...

イワナガヒメの神話エピソード【神様にも寿命ができたきっかけに】

イワナガヒメは日本の神話の中で、コノハナサクヤヒメの姉として描かれています。

コノハナサクヤヒメは美しい容姿を持つ女神ですが、一方のイワナガヒメは醜い容姿を持っていたと言われています。

ある日、コノハナサクヤヒメは薩摩半島の岬で、天つ神であるニニギと出会います。

コノハナサクヤヒメに一目惚れしたニニギは、結婚を申し込みます。

その話を聞いたオオヤマツミは喜び、妹のコノハナサクヤヒメとともに姉であるイワナガヒメもニニギのもとへと嫁がせたのです。

しかしニニギはイワナガヒメのことは受け入れず、送り返してしまいます。

オオヤマツミが、姉妹そろってニニギのもとへ嫁がせたのには理由がありました。

コノハナサクヤヒメを嫁がせたのには「木の花が咲くような繁栄を得られるように」、イワナガヒメを嫁がせたのには「命が岩のように永遠に続くように」との願いが込められていたのです。

しかしイワナガヒメを送り返してしまったため、ニニギとその子孫の命はまるで桜の花が散るように短いものとなりました。

ここから、神様にもわたしたちと同じように寿命が与えられることになったのです。

イワナガヒメの別名について【岩長比売・岩永姫命】他

イワナガヒメには「石長比売」など、多くの別名があります。

日本の神話に登場する神様は、語られる書物や地域、また祀られている神社によって呼び名や表記が変化していることがあるのです。

• 石長比売(イワナガヒメ)：古事記での表記
• 木花知流比売(コノハナチルヒメ)：八島士奴美神との婚姻エピソードで登場する古事記での表記
• 岩永姫命(イワナガヒメノミコト)：神社によっては使用される別称
• 苔牟須売神(コケムスヒメ)：神社によっては使用される別称
• 岩長姫命(イワナガヒメノミコト)：神社によっては使用される別称
• 岩長比売命(イワナガヒメノミコト)：神社によっては使用される別称
• 岩長毘売神(イワナガヒメノカミ)：神社によっては使用される別称
• 磐長姫大神(イワナガヒメノオオカミ)：神社によっては使用される別称

あなたの魂が輝けば
世界はもっと素敵になる

コノハナサクヤヒメや龍神など、イワナガヒメと他の神様との関係

大山津見神との関係｜娘には姉妹で幸せになってほしかった？

大山津見神(オオヤマツミノカミ)はイワナガヒメの父であり、山の神や酒造の神として知られています。

先ほど紹介したイワナガヒメの神話エピソードでオオヤマツミは、求婚されてもいない相手(ニニギ)のもとへイワナガヒメを嫁がせるように取り計らいます。

しかし結果として、イワナガヒメは送り返されてしまうのです。

怒ったオオヤマツミは、「あなたの寿命は花が散るように儚いものになるだろう」とニニギに告げました。

イワナガヒメの伝承が残る宮崎県の銀鏡神社や米良神社には、オオヤマツミとイワナガヒメがともに祀られています。

ニニギノミコトとの関係｜子孫にも大きな影響を与えるやらかし

邇邇芸命(ニニギノミコト)とイワナガヒメが関わるのは、とても短い間のことでした。

アマテラスの孫であり、天界から地上へと降り立ったニニギ。

美しいコノハナサクヤヒメと出会い、コノハナサクヤヒメの父であるオオヤマツミに結婚の許しを得ます。

オオヤマツミの思いも知らず、ニニギは容姿に恵まれていないイワナガヒメだけをすぐに送り返します。

そしてイワナガヒメが持つ岩のような命の永続性を失ったニニギには、美しくも儚い花のような繁栄だけが残ったのです。

このときのニニギの選択が、神の子孫である天皇にも寿命をもたらしたと言われています。

また『古事記』や『日本書紀』ではすぐにニニギのもとから追われたとされるイワナガヒメですが、伊豆地方や伊予地方の伝説では、ニニギの子を妊娠していたという説も残っています。

ニニギノミコトとは？その正体や家系図、祀られている神社なども解説五穀豊穣の神で、天孫降臨で知られるニニギノミコト。その正体から家系図、祀られている神社まで詳しく解説していきます！ ...

木花咲耶姫との関係｜ふたりでひとつ？自然を象徴する姉妹神

木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)とイワナガヒメは姉妹であり、浅間神社など一緒に祀られている神社も多くあります。

コノハナサクヤヒメは桜との縁が深い火の神として、イワナガヒメは岩石の神として、どちらも自然とのつながりが深い神様です。

またコノハナサクヤヒメは富士山の化身とも言われています。

一方でイワナガヒメは、大室山の化身だと言われています。

伊豆地方では古くから、「大室山」で富士山を褒めると、怪我をしたり不漁になったりという俗信があるそうです。

コノハナサクヤヒメとは？神話や家系図を交えわかりやすく解説木花咲耶姫は安産の神様。ご利益と祝詞、ニニギノミコトや白龍との関係、「コノハナサクヤヒメ」に守られている人の特徴などを詳しく解説♪...

八島士奴美神との関係｜大国主命へと神様の物語をつないだ夫婦

八島士奴美神(ヤシマジヌミノカミ)は、須佐之男命(スサノオノミコト)と櫛名田比売(クシナダヒメ)の子で、木花知流比売(コノハナチルヒメ)の夫とされる神様です。

コノハナチルヒメはオオヤマツミの娘で、この「コノハナチルヒメ」が、イワナガヒメと同一神ではないかという説があります。

そして『古事記』でヤシマジヌミとコノハナチルヒメの子孫とされているのが、「因幡の白兎」のエピソードで知られるオオクニヌシです。

このオオクニヌシは、イワナガヒメたちがニニギのもとへ嫁ぐエピソードが始まる前に、物語に登場しています。

龍神との関係｜イワナガヒメの「ナガ」が表す意味は？

イワナガヒメは、龍神とも関係があります。

イワナガヒメと縁のある宮崎県の銀鏡神社(しろみじんじゃ)の近くには、龍房山という山があります。

ニニギに送り返されたイワナガヒメは、オオヤマツミからもらった鏡に自分の姿を写します。

そこには、龍のような醜い自分の姿がありました。

嘆き悲しんだイワナガヒメは、その鏡を遠くへ投げ捨てるのです。

そして投げた鏡は龍房山の頂上にある大木に引っかかり、龍房山の鏡は夜でも昼のように白く輝きを放ちました。

また、イワナガヒメの「ナガ」はインドネシア語で龍(ナーガ)を表しているという説も。

イワナガヒメが祀られている京都貴船神社には、イワナガヒメとともに高龗神(タカオカミノカミ)または闇龗神(クラオカミノカミ)と呼ばれる龍神が祀られています。

イワナガヒメのご利益とは

岩の神様であるイワナガヒメには、さまざまなご利益があります。

イワナガヒメは名前の通り、石や岩を象徴している神様で、岩のように命が続いていく延命長寿のご利益があります。

その他に、安産や子孫繁栄、縁結びといったご利益も。

縁結びと縁切りのご利益を同時に持つ神様としても有名です。

また家内安全や海上安全といったご利益でも、多くの人に力を貸してくれるでしょう。

イワナガヒメが祀られている神社

浅間神社（全国各地）

浅間神社は富士山を信仰する神社で、全国各地に約1300社あります。

境内には人工の山である富士塚がある神社も。

多くの浅間神社では、イワナガヒメとコノハナサクヤヒメがともに祀られています。

一方で、静岡県にある雲見浅間神社と大室山浅間神社は、イワナガヒメのみを祀っている珍しい神社です。

大室山浅間神社のある大室山は、山全体が国の天然記念物に指定されています。

貴船神社（京都府京都市）

京都府にある貴船神社も、イワナガヒメを祀る神社のひとつです。

貴船神社には、本宮、結社、奥宮があり、3つを参拝する三社詣が知られています。

特に結社(ゆいのやしろ)は、縁結びの社として有名です。

また、奥宮本殿の真下には「龍穴」と呼ばれる大きな穴があり、日本三大龍穴のひとつとされています。

毎年6月には貴船祭と呼ばれる例祭が執り行われ、多くの人で賑わいます。

定期的に夜間拝観も行われているため、時期によってはライトアップされた神社を参拝することもできますよ。

銀鏡神社（宮崎県西都市）

銀鏡神社(しろみじんじゃ)は宮崎県にあり、イワナガヒメと父であるオオヤマツミを祀っています。

イワナガヒメが投げたとされる鏡と、龍房山か御神体です。

徹夜で舞い続ける銀鏡神楽は毎年12月に奉納され、国の重要無形民族文化財に指定されています。

参道を進んでいくと樹齢300年を超えるイチイ樫の木があり、村の守り神「カリコボーズ」の声が聞こえるという伝説も。

岩戸神社（長崎県雲仙市）

長崎県にある岩戸神社にもイワナガヒメが祀られており、古くから「岩戸さん」と呼ばれて地元の人々に親しまれています。

御神体は、縄文人が住んでいたとされる洞窟。

岩戸神社の本殿がある場所は大きな岩窟と巨木に囲まれており、境内には小さな滝つぼもあることから「神秘の森」として有名です。

また、岩戸神社の手前にある岩戸水神の水くみ場にはハート形のパワーストーンがあり、触ると恋愛運がアップすると言われています。

あなたの魂が輝けば
世界はもっと素敵になる

イワナガヒメに守られている人の特徴

ここからは、イワナガヒメに守られている人の特徴を紹介します。

生命の永続性を司り、縁をつなぐイワナガヒメ。

自分や身近な人に当てはまる特徴がないか、チェックしてみてくださいね。

• 落ち着いて自分の役割に集中できる
  イワナガヒメは岩を象徴している神様です。
  そのため、岩のようにどっしりと落ち着いて自分が今やるべきことに集中できる人は、イワナガヒメから応援されていると言えます。
   
• 自分の世界を大切にしている
  ただ人の意見に従うのではなく、自分の考えを持って周りとの境界線を引くことができる人も、イワナガヒメに守護されています。
  リラックスして過ごせる環境を整えるとより安定感が生まれ、自分の良心に従って行動していけるでしょう。
   
• 知識を身につけて自分の能力を伸ばす努力をしている
  イワナガヒメに守られている人は義務感が強く、自分の力を社会で発揮していくために必要なスキルや経験を身につけようと努力します。
  現実的に目標を決めて、着々と実力を磨いていくでしょう。
   

【守護神診断】あなたを見守っている日本の神様は？

あなたを見守ってくれている守護神がどんな神様なのか、診断してみましょう。

簡単な質問に答えるだけで、守護神の情報やメッセージが受け取れますよ。

神様があなたへの想いをつづった“特別なお手紙”も貰えるかもしれないので、さっそく試してみてくださいね。

【まとめ】磐長姫(イワナガヒメ)の物語から生命力を受け取ろう♪

日本の神様も人間と同じように、家族とのつながりがあり、次の世代へと命をつないでいます。

そしてそれぞれに得意、不得意の分野があり、親しみやすかったり共感できたりする一面も持っています。

たとえば、イワナガヒメは神話の中で醜い容姿の神様として描かれ、結婚相手から拒絶された経験がありました。

一方で、違う神様と結ばれて命をつなぎ、その子孫が国づくりの重要な役割を果たしています。

こうした様々なエピソードを知ることで、日本の神様には多面的な魅力があることがわかるでしょう。

あなたの魂が輝けば
世界はもっと素敵になる