宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)とは？神話や家系図を交えわかりやすく解説

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五穀を司る穀物・農業の神、宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)とは？

宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)と聞いて、何を司る神様なのかすぐに思い浮かぶ人は少ないかもしれませんが、「お稲荷さん」と聞けばピンと来るのではないでしょうか。

伏見稲荷大社をはじめ、多くの稲荷神社で「稲荷神(お稲荷さん)」として広く信仰され、「食べ物」や「穀物」を司る神様です。

稲の象徴でもあり、豊かな収穫をもたらす力を持つこの神様は、農耕文化が発展した日本において、とても大切にされてきました。

性別ははっきり記されてないものの、古くから女神とされている宇迦之御魂神の魅力や特徴について、わかりやすく解説していきます。

宇迦之御魂神は【穀物の神】他にも多くのご利益がある

宇迦之御魂神は、『古事記』に「穀物の神」として記されています。

特に稲作を象徴する存在で、古くから農耕文化が発展した日本の人々にとって欠かせない神様でした。

穀物が豊かに実ることは、生活が安定し、未来への安心感が生まれること。

そのため、宇迦之御魂神は単に「食べ物の神」だけではなく、「豊かさ」そのものを象徴する神様としても有名で、商売繁盛、財運上昇などのご利益があります。

また、宇迦之御魂神は「稲荷神」の一面を持ち、多くの神社で狐が祀られています。

狐は宇迦之御魂神の使いとされ、稲を守る神聖な存在と考えられています。

このため、稲荷神社に行くと多くの狐の像を見ることができるのです。

宇迦之御魂神は、物質的な豊かさ、心の豊かさや人と人のつながりの大切さにも通じる神様。

穀物の神として私たちに食物を与え、日々の生活を支えてくれる宇迦之御魂神は、過去から現代まで多くの人々に愛され続けています。

宇迦之御魂神の家系図丨須佐之男命と神大市比売から生まれた稲作の神

宇迦之御魂神は、須佐之男命(スサノオノミコト)と神大市比売(カムオオイチヒメ)の間に生まれました。

須佐之男命は、海や嵐を司る力強い神。

ヤマタノオロチ退治で知られていますが、稲作文化とも深い関わりを持つ神様です。

一方、神大市比売は大地や豊穣を象徴する女神で、「食」を象徴する神々の中で重要な位置を占めています。

そして宇迦之御魂神には、兄神として大年神(オオトシノカミ)がいます。

大年神は、農業や穀物を司る神。大年神と宇迦之御魂神は共に「稲穂」に象徴される豊かさを伝える役割を持っています。

父神、母神、兄弟神とともに、宇迦之御魂神は「生命の実り」を象徴する神様なのですね。

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そばに鎮座する狐は宇迦之御魂神の大切な使者

宇迦之御魂神といえば、狐とともに描かれるイメージが強いですが、実はその背景には「稲荷神」としての役割が深く関わっています。

宇迦之御魂神は食物神として、人々に稲穂の実りをもたらす神様です。

狐は稲を荒らす害獣を追い払い、田畑を守る役割を担っていたため、古代の農民たちにとって非常に重要な存在でした。

そのため狐は神の使者としての役割を担い、神聖な使い手として稲荷神社に鎮座しています。

この背景が、宇迦之御魂神＝稲荷神＝狐というつながりを形成していったと考えられています。

今では、稲荷神社は全国各地にあり、商売繁盛や家内安全、五穀豊穣を祈願する場所として親しまれています。

稲荷神社で狐を見かけたときは、背後にいる宇迦之御魂神の存在に思いを巡らせてみるのもいいかもしれませんね♪

宇迦之御魂神の別名について【宇迦之御魂大神・宇迦之御魂命・宇迦之御魂】他

宇迦之御魂神は、日本の神話などにおいてさまざまな名前で呼ばれています。

• 宇迦之御魂大神(ウカノミタマノオオカミ)：古事記での表記

「大神(おおかみ)」は特に尊い存在を示す敬称で、古事記や日本書紀の神々に多く見られる表現です。宇迦之御魂神が稲荷神として多くの人々に親しまれていることを強調しています。

• 宇迦之御魂命(ウカノミタマノミコト)：日本書紀での表記

「命(みこと)」は神々に付けられる称号で、「御魂」の神聖さを強調する呼び方です。この名称は特に神社の祭祀や祝詞で使われることが多いです。

• 宇迦之御魂(ウカノミタマ)：和名類聚抄での表記

「大神」や「命」が付かないこの形は、より一般的な表現として使われます。稲荷神としてのシンプルな信仰形態を示しています。

• 倉稲魂命(ウカノミタマノミコト)：日本書紀での表記

「倉稲」は穀物の豊かさや蓄えを意味し、「魂」は神聖な霊力を指します。農業や食物の神としての性質を象徴する名称です。

• 稲荷大明神(イナリダイミョウジン)

宇迦之御魂神が稲荷信仰の中心的な神として祀られる際の名前です。「大明神」という称号は、特に尊い神に与えられる敬称で、宇迦之御魂神への信仰を示しています。

• 三狐神(サンコシン)

宇迦之御魂神が狐に象徴される神として信仰される際に使われる名前です。狐は稲荷神の使いとされ、三狐神は宇迦之御魂神の三つの側面(豊穣、繁栄、守護)を表すとも言われています。

• 御食津神(ミケツカミ)

食物や穀物を司る神としての名前で、「食べ物を提供する神」という意味があります。特に食べ物の恵みに感謝する神事で使われます。

瀬織津姫や豊受大神など、宇迦之御魂神と他の神様との関係

瀬織津姫との関係丨汚れを清め豊穣をもたらす役割をもつ

宇迦之御魂神と瀬織津姫(せおりつひめ)は、直接の家族関係や神話上の交流が語られることは少ないものの、二柱には深い繋がりがあります。

瀬織津姫は、穢れや罪を清め、自然界や人々の生活を調和へ導く神々「祓戸四神(はらえどのししん)」のうちの一柱。

川や海の流れを通じて穢れを清める「川の神」や「水の神」として信仰され、清らかな流れとともに人々の心や土地を浄化する力を持つ女神です。

宇迦之御魂神は豊穣を司る神ですが、作物が育つには清らかな水や健康な土壌が欠かせません。

瀬織津姫の流す水が田畑を潤し、宇迦之御魂神が象徴する稲が育つ場を整えるという自然の循環は、まさに二柱の関係を象徴しています。

心を清めることが豊かな実りをもたらすように、自然や日々の生活に感謝する心を持ちながら、二柱を祀る場所を訪れてみるのも良さそうですね♪

豊受大神との関係丨豊穣を司り人々の生活を支える

豊受大神(とようけおおかみ)は、食物や農業を司る神様で、天照大神(アマテラスオオミカミ)に供え物を捧げるために伊勢に招かれたという神話が残っています。

「豊受」の名が示すように、「豊かに受け取る」ことを象徴し、自然界の恵みや食物の供給を担当する神様。

宇迦之御魂神は稲を象徴する神であり、豊受大神はその稲や食物全般を人々の暮らしに届ける役割を持つとされています。

宇迦之御魂神が自然界の恵みを育てる神であるのに対し、豊受大神はその恵みを人々の生活に結びつける役割を担っているともいえるでしょう。

二柱は直接的な血縁関係ではありませんが、稲作文化の中心に位置し、人々の暮らしを支える存在として深い縁があります。

このため、二柱は日本の食文化や農業の神話的な基盤を支えるパートナーのような存在です。

伊邪那岐命・伊邪那美命との関係丨神様の飢えをしのぐために誕生？！

伊邪那岐命(イザナギノミコト)と伊邪那美命(イザナミノミコト)は、すべての神々の始まりとも言える神様。

二柱は夫婦神であり、最初の神々として日本の国を生み、神を生んだのです。

天照大御神(アマテラスオオミカミ)、須佐之男命、月読命(ツクヨミノミコト)などもイザナギから生まれました。

『日本書紀』に登場する宇迦之御魂神は、このイザナギとイザナミから生まれた神とされています。

しかし、彼の名前が登場するのは、「神産み」の第六の一書の中で、イザナギとイザナミが飢えたときに産まれた神々の一部として紹介されているだけ。

この時、二柱は「国生み」により空腹を感じ、食べ物を求めていたため、食物を司る神として宇迦之御魂神が誕生したと考えられています。

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神武天皇との関係丨勝利祈願の干飯から生まれた神様

神武天皇は、日本の初代天皇であり、紀元前660年に即位したとされています。

神武天皇の伝説には、天照大神の子孫としての神聖さや、様々な困難を乗り越えて日本を平定した英雄的な側面が描かれています。

『日本書紀』によると、神武天皇は戦の際に祭祀を行う中で、供え物である干飯に厳稲魂女(いつのうかのめ)という神名をつけたと記されています。

この名前は、稲の神である宇迦之御魂神に関連していると考えられています。

また江戸時代の国学者、本居宣長(もとおり のりなが)は、『古事記伝』において、この厳稲魂女をウカノミタマと同じ神としています。

神武天皇が稲の神である宇迦之御魂神を重んじ、戦勝を祈願する際に食物に神名をつけたことは、農業の豊かさと国家の安定を願った信仰の表れと言えるでしょう。

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宇迦之御魂神のご利益とは

宇迦之御魂神は稲の神様で、豊作祈願や農業の発展、五穀豊穣の神様として信仰されています。

その他、古くから多くのご利益があると言われていますので、それぞれ詳しく見ていきましょう。

まず、宇迦之御魂神は「稲荷神」として商売繁盛の神様としても知られています。

稲荷神社には商業や経済に携わる人々が多く参拝し、商店や会社の発展を願う経営者から信仰されています。

そして、稲の神様である宇迦之御魂神は、家庭内での食べ物の安定供給や家庭円満をもたらす存在とも考えられています。

稲荷神社などで参拝する際は、自然や食物への感謝を忘れずに祈ると良いでしょう。

さらに、稲荷神社の狐が厄を払う存在として信じられていることから、宇迦之御魂神にも厄除けや開運のご利益があるとされています。

特に新しいことを始めるときや人生の転機において、参拝を通じて良い方向に導いてもらおうとする人が多いようです。

宇迦之御魂神が祀られている神社

伏見稲荷大社（京都市伏見区）

京都市伏見区にある伏見稲荷大社は、日本全国にある稲荷神社の総本宮、稲荷信仰の中心地です。

その歴史は古く、711年（和銅4年）に創建されたとされています。

宇迦之御魂神のほか、大宮能売神、佐田彦神などが祀られ、五穀豊穣や商売繁盛、家内安全などを願う参拝者が古くから絶えず、年間数百万人が訪れる人気の神社です。

山腹に連なる壮観な千本鳥居の風景は特に有名で、鳥居をくぐりながら参拝することで願いが成就するとされています。

伏見稲荷大社は、そのスケールと歴史の深さ、宇迦之御魂神を中心としたご利益で、日本国内外の多くの人々に親しまれています。

神秘的な空間と日本古来の信仰に触れる特別な体験ができるでしょう。

笠間稲荷神社（茨城県笠間市）

笠間稲荷神社(かさまいなりじんじゃ)は、茨城県笠間市にある由緒ある神社で、宇迦之御魂神を主祭神として祀っています。

日本三大稲荷の一つとされ、商売繁盛や五穀豊穣を願う参拝者が全国から訪れます。

「笠間の菊まつり」が有名で、戦争で疲れた人々の心を癒やすために「大地と親しみ、菊の花が人々の心を和ませる」と、菊の花を展示したのが発端です。

「きつね絵馬」や「よりそい土鈴」などの可愛いデザインのお守りや、商売繫盛を願う熊手など種類も数も豊富で、参拝の記念に人気です。

笠間稲荷神社は、豊かな自然に囲まれた神聖な場所で、多くの人々の心の拠り所となっています。

小津神社（滋賀県守山市）

小津神社(おづじんじゃ)は滋賀県守山市にある、境内が約2万8000平方メートルの広い神社。

大きな木々がたくさん生い茂った中に、戦国時代に建て直された美しい本殿があります。

この本殿には、木で作られた宇迦之御魂神の女神像があり、国の重要文化財に指定されています。

この地域では「長刀まつり」と呼ばれる踊りがあります。

昔、大雨で社殿が流されてしまった時に村人たちが琵琶湖から神様を迎えたのが発端となり、その時の喜びが踊りとなって伝えられていると言われています。

祐徳稲荷神社（佐賀県鹿島市）

佐賀県鹿島市にある祐徳稲荷神社も、日本三大稲荷の一つとして知られる神社です。

美しい朱塗りの社殿は「鎮西日光」とも呼ばれ、壮麗な景観が特徴です。

五穀豊穣と諸業繁栄を祈願する「春季大祭」が行われる月に頃には、桜やツツジの花も見頃を迎え、華やかさが一層増し加わります。

実際に訪れて祐徳稲荷神社の四季折々の景色を堪能するのももちろんですが、オンライン授与所もあり種類豊富なお守りをゆっくり選べるのも魅力のひとつです。

宇迦之御魂神に守られている人の特徴

ここでは宇迦之御魂神に守られている人の特徴を見ていきましょう。

・努力家で勤勉な人
宇迦之御魂神は、五穀豊穣をもたらす神様として、農作物の育成や日々の働きを支える力を与えてくれます。そのため、地道な努力を惜しまない人や、仕事に真面目に取り組む人は、特に守護を受けやすいでしょう。

・商売や事業を営む人
稲荷神は商売繁盛の神様としても知られ、商人や起業家にご利益を授けるとされています。特に、誠実に取引を行い、顧客を大切にする人は宇迦之御魂神に見守られているでしょう。

・感謝の心を持つ人
宇迦之御魂神は、人々の生活を支える食物や資源を司る神様です。そのため、自然や他者への感謝の気持ちを大切にする人は、宇迦之御魂神の加護も大いに受け取れるでしょう。

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【まとめ】宇迦之御魂神は豊穣から家内安全まで、広く「実り」をもたらす神様

宇迦之御魂神は、稲をはじめとする食物の豊穣を司ります。

ほかにも、商売繁盛や食べ物の恵みへの感謝、家庭円満、厄除け、開運など、農業や商業・家庭の平和から厄除けに至るまで、幅広いご利益が。

全国に広がる稲荷神社では、主祭神として宇迦之御魂神が祀られています。

宇迦之御魂神は、稲作を主とする私たちの暮らしを支え、昔から深い縁がある神様。

神社を訪れたり、その背景にある物語を知ることで、身近な恵みについて改めて考えるきっかけになるかもしれませんね♪

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